診療内容

内科

一般内科

風邪や発熱、胃腸障害、喘息、花粉症、アレルギーといった日常よくみられる病気から、糖尿病・高血圧・高脂血症・痛風などの生活習慣病まで幅広く診察致します。
当院においては全て最新の治療ガイドラインに則って検査・診断・治療を行っております。
安心して頂けるよう、じっくり対話をし、良質で信頼のおける医療の提供を行っております。
気になることがあればなんでもご相談ください。

生活習慣病

高血圧症

高血圧症は心血管病(脳卒中・心筋梗塞など)の最大の危険因子とされており、適切な診断・血圧管理が重要です。
家庭血圧測定の方法・条件
朝: 起床後1時間以内 排尿後 朝の内服前 朝食前 座位1-2分安静後
晩(就寝前): 座位1-2分安静後
カフ(血圧測定の際に膨らむ部分)は心臓の高さに維持
降圧目標
  診察室血圧
(mmHg)
家庭血圧
(mmHg)
75歳未満の成人
脳血管障害患者
(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
冠動脈疾患患者
CKD患者(蛋白尿陽性)
糖尿病患者
抗血栓薬服用中
130/80 125/75
75歳以上の高齢者
脳血管障害患者
(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞があり、または未評価)
CKD患者(蛋白尿陽性)
140/90 135/85
(日本高血圧学会、高血圧治療ガイドライン2019)
診察室血圧に基づいた脳心血管病リスク層別化
日本高血圧学会、高血圧治療ガイドライン2019
治療
本態性高血圧症(基礎疾患のない高血圧症)は、主に食生活の改善を中心に行います。
改善が乏しい場合は、カルシウム拮抗剤・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬・α/β遮断薬・利尿剤などを病態に応じ組み合わせて使用します。
二次性高血圧症(基礎疾患のある高血圧症)は、基礎疾患の治療を優先して行います。(甲状腺機能亢進症・原発性アルドステロン症・腎血管性高血圧症・睡眠時無呼吸症候群など)

高脂血症

高脂血症は動脈硬化性疾患(脳梗塞・心筋梗塞など)および急性膵炎の危険因子とされています。総コレステロール(TC)・トリグリセライド(TG)・HDLコレステロール(HDL-C 善玉コレステロール)・LDLコレステロール(LDL-C 悪玉コレステロール)・非HDLコレステロール(non-HDL-C)などの値に基づき診断・治療を行います。
脂質異常症の診断基準(空腹時採血による数値)
LDLコレステロール 140mg/dl以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dl以上 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dl未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150mg/dl以上 高トリグリセライド血症
Non-HDLコレステロール 170mg/dl以上 高non-HDLコレステロール血症
150~169mg/dl 境界域高non-HDLコレステロール血症
(日本動脈硬化学会, 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版)
治療
検査の異常値があるから直ぐに内服による治療を開始するわけではありません。
その他の危険因子(高血圧症・冠動脈疾患・糖尿病・脳梗塞・抹消動脈疾患・喫煙・メタボリックシンドロームなど)がありリスクが高い方に関しては、吹田スコアに基づき治療開始を決定します。
基本的には生活改善が中心となります。不必要な内服を避けるよう生活改善に取り組み、定期的な採血をしましょう。
吹田スコア
吹田スコア①〜⑧の
合計得点
10年以内の冠動脈疾患
発症確率
発症確率の範囲 発症確率の
中央値
分類
最小値 最大値
35以下 1%未満
1.0% 0.5% 低リスク
36〜40 1% 1.3% 1.9% 1.6%
41〜45 2% 2.1% 3.1% 2.6% 中リスク
46〜50 3% 3.4% 5.0% 4.2%
51〜55 5% 5.0% 8.1% 6.6%
56〜60 9% 8.9% 13.0% 11.0% 高リスク
61〜65 14% 14.0% 20.6% 17.3%
66〜70 22% 22.4% 26.7% 24.6%
71以上 28%超 28.10%
28.1%以上
(日本動脈硬化学会, 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版)

糖尿病

糖尿病はインスリンの作用不足により慢性高血糖の状態を主徴とする代謝症候群です。
全世界で糖尿病患者の増加はとどまることを知らず、一般の方と比較して平均寿命が10~15年も短くなると言われています。
自覚症状がないまま進行し、放置すると糖尿病性網膜症・糖尿病性神経症・糖尿病性腎症・糖尿病性壊疽などを引き起こし、失明・神経障害・透析・四肢切断などを引き起こす怖い病気です。現在は新しい経口血糖降下薬やインスリン製剤・GLP-1製剤が登場し糖尿病の治療は大きく変革しています。
適切な診断・治療を早い段階から行えば平均寿命も改善すると言われています。
糖尿病の臨床診断のフローチャート
治療
これまではヘモグロビンA1cを下げれば下げるほど良いとされてきましたが、最近の研究では下げ過ぎても脳・心血管イベントが高くなるという結果が報告されています。(特に高齢者については血糖コントロールの目標が糖尿病ガイドラインにて設定されました)
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
(高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員)
(日本老年医学会・日本糖尿病学会 編・著:高齢者糖尿病診療ガイドライン2017. P46, 南江堂, 2017)
(日本糖尿病学会ホームページより)
基本は生活習慣の改善が前提ですが、コントロール不良の場合は、インスリンが分泌能低下・インスリン抵抗性増大・インスリン作用不足・食後/空腹時高血糖などにより経口血糖降下薬やインスリン製剤を使用します。
病態に合わせた経口血糖降下薬の選択
(日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2016-2017. P31, 文光堂, 2016)
(日本糖尿病学会ホームページより)
痛風・高尿酸血症
高尿酸血症は血清尿酸値が7.0㎎/dlを超えるものと定義されていますが、痛風発作は尿酸値が高ければ高いほど発症し易くなるわけではありません。
また、放置すると痛風腎(間質性腎炎)や高血圧症・糖尿病・メタボリックシンドロームの発症・進行につながるとされており、適切な生活習慣の改善・薬物療法が必要になります。
痛風発作が起こった場合、まずは炎症を鎮める治療が優先(約10~14日間)され、その後から尿酸値を下げる治療を行います。
発作が治まると無症状の為、通院を中断しがちですが、定期的な検査・治療を継続することが重要です。
高尿酸血症の治療方針
*腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど
(高尿酸血症・通風の治療ガイドライン 第2版, 2010より一部改変)

内視鏡検査

胃カメラ(上部内視鏡)

当院の胃カメラの特徴

鼻からの内視鏡検査(経鼻内視鏡検査)
胃カメラには口から挿入する方法(経口内視鏡)と、鼻から挿入する方法(経鼻内視鏡)があります。経口内視鏡は直径が約10mmで、経鼻内視鏡は先端径が約5.4mmです。

内視鏡で苦しいのは舌の奥(舌根)にカメラが触れ嘔吐反射(吐き気)が誘発されるのが原因です。よって、経鼻内視鏡(舌根に触れないルートからの挿入)の方が苦痛が少ないとされています。

また、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)は会話しながら検査ができますので、患者様と対話し状態を確認しながら検査が可能です。
最新の機器
以前は経鼻内視鏡は画像解像度も悪く光源も弱いため病変の見落としが多いとされていました。しかし、近年の技術の進歩により経鼻内視鏡も経口内視鏡に匹敵するものへと進化しています。
当院ではFujifilm社製の機器(EG-6400N)を用い、必要に応じてNarrow Band Imaging(NBI、微細な病変部を見やすくする技術)や色素散布法を併用することによって見落としのない検査を提供いたします。

胃カメラ(上部内視鏡)検査の流れ

検査当日の注意点(ご自宅にて)
 検査を午前中に受けられる方は朝食を、午後に受けられる方は昼食を抜くようにお願いいたします。
 水以外の飲み物はお飲みにならないようご注意ください。

ご来院

STEP 1
まず検査の前に胃の中をきれいにする消泡剤(白い液体の薬)を飲みます。
STEP 2
鼻の通りをよくする薬(血管収縮剤)を両方の鼻腔に噴霧します。
STEP 3
 数回に分けて鼻腔に麻酔をします。

STEP 4
 ベッドの上に左側を下にして横になります。
STEP 5
 内視鏡を鼻から挿入します。力を抜いて楽にしてください。
 口は自由に動かせますので、検査中にも医師と会話ができます。患者様の状態を確認しながら検査をすすめていきます。

患者様に十分にご相談させて頂いた上で、鼻から挿入(経鼻内視鏡)するか口から挿入(経口内視鏡)するかを選択させていただきます。
鼻からの挿入(経鼻内視鏡)をご希望された場合でも、鼻腔が狭く内視鏡挿入により痛みや鼻出血の恐れがあると判断した場合は経口からの挿入にて施行させていただきます。
STEP 6
 モニターでお腹の中をすみずみまで観察し、異常がないかチェックします。
 検査は5分程度で終了します。

STEP 7
 これで検査は終了です。
 結果説明の準備が整うまで待合室で少々お待ちください。
 ご気分が悪い場合にはすぐにお申し出ください。

STEP 8
 検査時に撮影した画像を見ながら検査の結果をお伝えします。

組織採取を行った場合は、後日検査結果をご説明することがあります。

ご帰宅

検査後の注意点
 鼻は強くかまないようにしましょう。
 飲料はむせなければ検査後すぐ摂っていただいて大丈夫です。食事は検査終了後30分くらいしてから可能です。
 激しい運動は避けてください。
 お風呂は、組織採取をした際には湯船を避け、シャワー程度にしましょう。

組織採取を行った場合は、2~3日は刺激のある食事、飲酒、コーヒーなどは避けるようにしましょう。

消化管(食道・胃・十二指腸)

食道・胃・腸などの消化管の疾患としては、大腸がん・膵臓がん・食道がん・胃がんなどの悪性腫瘍、ポリープなどの良性腫瘍、逆流性食道炎・急性胃炎・胃潰瘍などの炎症性疾患やなどが挙げられます。
特に、胃がんと大腸がんは、男女ともに死亡原因のトップ3に入ります。
少しでも気になることがございましたらお気軽にご相談ください。

食道の病気

胃食道逆流症(gatroesophageal reflux disease ; GERD)

症状:
胸やけ・おくび・胸痛・つかえ感・のどの違和感・慢性の咳・味覚障害 など

説明:
胃の内容物が食道内に逆流することによって生じるもので、胃カメラ(上部内視鏡)で食道胃接合部に潰瘍やただれ等の異常を見ることができます。放置すると、食道胃接合部がん発症のリスクとなります。

予防・治療法:
胃酸を抑える薬・消化管機能改善薬・生活習慣の改善が必要です。

非びらん性胃食道逆流症(nonerosive reflux disease ; NERD)

症状:
胃食道逆流症(GERD)と同じです。

説明:
胃食道逆流症(GERD)と同様に胃内容物が食道内に逆流することによって生じますが、胃カメラ(上部内視鏡)で検査をしても食道胃接合部に異常は見られないのが特徴です。

予防・治療法:
このような方は胃液の産生が少量であり、胃酸を抑える薬での効果は4割程度と低くなります。薬物治療も行いますが、ストレスの解消や生活習慣の改善が重要です。また、漢方薬なども有効とされています。

食道がん

症状:
胸やけ・胸痛・つかえ感

説明:
男性に多く見られ、喫煙・飲酒・熱い物の摂取などと深い関係にあります。
特に1日30本以上の喫煙や1日1.5合以上の飲酒をしている方は、非喫煙非飲酒者よりも約40倍も発生リスクが高くなります。
また、フラッシング(わずかな飲酒ですぐに顔が赤くなること)のある方は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解する酵素が先天的に少なく、発がんリスクが高いことが明らかとなっています。

予防・治療法:
食道は解剖学的に漿膜(しょうまく)という層がないため、早期に病気が進行する特徴があります。
早期に発見できれば内視鏡にて切除が可能な時代です。飲酒・喫煙・フラッシングのある方は、積極的に内視鏡検査をすることをお勧めします。

胃の病気

急性胃炎

症状:
みぞおちの痛み・吐き気・食欲不振・お腹のはり(腹部膨満感)・吐血・下血

説明:
抗生剤・ステロイド・痛み止めなどのお薬や、アルコールの摂取、ストレス、刺激の強い食べ物、ヘリコバクターピロリ感染などで、胃粘膜の防御機構が破綻し炎症を起こします。

予防・治療法:
上記の発症リスクを高める原因を取り除き、適切な薬物療法をすることで急速に改善しますが、症状がひどい場合は入院となることもあります。

慢性胃炎

症状:
無症状・胃の不快感・胃もたれや腹痛・食欲不振・胸焼け・吐き気 など

説明:
慢性胃炎は病理組織学的診断名であり、胃粘膜の胃腺(胃液を産生する)の減少、萎縮、炎症細胞の浸潤を特徴とします。その約80%はヘリコバクターピロリ感染が原因とされており、胃の出口付近で胃炎(B型胃炎)を起こします。また、胃の入口付近に胃炎が起こる、自己免疫による自己免疫性胃炎(A型胃炎)などもあり、進行すると悪性貧血が出現します。

予防・治療法:
胃カメラ(上部内視鏡)検査・組織検査によって診断し、ヘリコバクターピロリ感染がある場合は除菌療法を行います。 慢性胃炎がある方は、ピロリ菌を除菌した後でも発がんのリスクは高いままですので、年に一回胃カメラ(内視鏡)を行うことが推奨されています。

機能性胃腸症(functional dyspepsia ; FD)

症状:
辛いと感じる食後胃もたれ、早期飽満感(少量のみで満腹になること)、みぞおちの痛み、みぞおちの焼ける感じ(灼熱感)

説明:
機能性胃腸症は、上記4つの症状のいずれかが1つ以上あり、かつ原因となり得る器質的疾患が、胃カメラ・血液検査・腹部超音波検査などで確認されない場合診断となります。(ROME Ⅲによる診断基準)原因は未だ明確とはなっていませんが、消化管運動異常・ピロリ菌感染・胃酸分泌過多・心身症(うつ病)などが考えられています。

予防・治療法:
治療は症状に合わせて、内服薬を調整していきますが、病院に来院されお話しすることで症状が緩和される方もいらっしゃいます。

胃潰瘍

症状:
食後に増強するみぞおちの痛み、お腹のはり(腹部膨満感)、吐血、下血、吐き気(嘔気) など

説明:
90%以上の大多数はヘリコバクターピロリの感染により胃の防御機構が障害され発症します。それ以外にも、鎮痛剤やステロイドの内服、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)などでも発症します。

予防・治療法:
治療は制酸剤および粘膜保護剤などの内服加療が一般的ですが、出血したり潰瘍が深く穴が開いたりしそうな場合は入院加療が必要となります。また内視鏡にて確認後、悪性でないことを組織検査にて行い、ピロリ菌がいる場合は除菌療法を行います。

胃ポリープ

症状:
基本的には症状はありませんが、ポリープの種類によっては貧血やがん化することもあるポリープもあります。

胃底腺ポリープ
ピロリ菌に未感染の健康な胃にできるポリープです。これがある人はがんになりにくいとされています。特に治療の必要はありません。

過形成性ポリープ
ピロリ菌感染との関係が指摘されており貧血の原因や、まれにがん化(1%程度)する事もあるので、年一回の胃カメラ(上部内視鏡)検査・組織検査が必要です。

胃腺腫
良性と悪性の中間の状態です。従って、定期的に組織検査が必要となります。組織検査によって、細胞の変化が低いもの・中間のものは経過観察となりますが・高いものは早期胃がんに準じて内視鏡治療の適応となります。

胃がん

症状:
上腹部の痛み・吐き気・げっぷ・漠然とした不快感 など

説明:
胃がんは減少傾向にはありますが、いまだに死亡原因で上位に入る病気です。喫煙・塩分の過剰摂取・β‐カロチンの摂取不足などがあげられますが、現在ではピロリ菌の感染により胃がんの発生率が高くなることが証明されました。

予防・治療法:
現在は内視鏡診断・治療が飛躍的に進歩し、早期胃がんであれば、お腹を切る手術をしなくても内視鏡で治癒が可能な時代となっています。それには、危険因子がある人はピロリ菌の除菌も含め、年一回の胃カメラ(上部内視鏡)検査が必要です。検査が辛くて、症状がないからと検査をしないままでいると進行がんとなり命を落とすことになります。

十二指腸の病気

十二指腸潰瘍

症状:
空腹時・夜間のみぞおちの痛み、背中の痛み、吐血・下血

説明:
胃酸過多とピロリ感染が原因とされています。それ以外にも、鎮痛剤・抗血小板薬などの内服や喫煙、頻度は少ないですが胃酸分泌を促進させるような内分泌腫瘍も原因とされています。

予防・治療法:
基本的には制酸剤の内服とピロリ菌の除菌が必要です。

肝臓(胆のう・すい臓)

肝臓は、体内で重要な働きを担っているにもかかわらずSOSを出す(自覚症状が出る)のが遅いため「沈黙の臓器」と呼ばれています。
また、肝臓が正常に機能するためには胆のうとすい臓が深く関わっています。
ここでは肝臓・胆のう・すい臓の病気をご説明します。

肝臓の病気

脂肪肝

症状:
自覚症状はなく検診にて指摘されることがほとんどです。

説明:
食べ過ぎや飲み過ぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まってしまった肝臓の肥満症とも言える状態です。他の生活習慣病を合わせて発症することが多いのが直腸です。

予防・治療法:
生活習慣病の治療 及び 食事・運動療法を行います。

アルコール性肝障害

症状:
発熱・黄疸・右上腹部痛・肝臓の圧痛・食欲不振・嘔吐・下痢 など

説明:
1日あたり80g以上のアルコール(日本酒換算で約3合)を5年以上継続的に摂取している常習飲酒家にしばしみられる肝病変です。初期の脂肪肝の状態では禁酒をすることで改善しますが、飲酒を続け放置すると肝臓の炎症から線維化そして肝硬変と進行し、元の肝臓に戻ることができなくなります。

予防・治療法:
何よりも禁酒が一番です。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

症状:
症状はほとんどありません

説明:
お酒を飲まないのに脂肪肝が見つかり、他の原因となる肝疾患がない場合に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断されます。メタボリックシンドロームや食生活・肥満との関連が強い疾患です。
NAFLDの有病率は30%程度と報告されており、慢性肝疾患の約50%にも及ぶと報告されています。中年層の男性・閉経後高齢層の女性で多く見られ、肝硬変や肝臓がんに占める割合が今後増加することが予想されています。
NAFLDは、肝細胞に脂肪が蓄積した脂肪化による非アルコール性脂肪肝(NAFL)と、脂肪化に加えて炎症細胞浸潤を伴い肝線維化を認める非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の2つの病態に分けられ、NASHは進行性で肝硬変や肝臓がんの発生源となるため、適切な診断・治療が必要です。

予防・治療法:
メタボリックシンドローム・食生活の改善(高脂血症・高血圧・糖尿病などの薬物治療)です。

ウィルス性肝炎

ウィルス性肝炎には主にA型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。ここでは主によく知られているB型、C型肝炎についてご説明します。 ※ウィルス性肝炎の治療は医療費助成制度の適応がありますのでご相談ください。

B型肝炎
説明:
B型肝炎ウィルスが血液・体液を介して感染し発症する病気です。感染の原因のほとんどはHBV慢性感染者との性的接触によるものと考えられています。この他に、母子感染やHBV持続感染者の十分に消毒されていない器具を使った医療行為、入れ墨、ピアスの穴開け、カミソリや歯ブラシの共有なども原因とされています。

HBV感染後、一過性の急性肝炎を発症することがしばしばありますが、その大部分の人は体内からHBVが排除され慢性化しません。また、HBVに感染しながらも急性肝炎の症状が出ず、気づかないうちにHBVが排除される人も少なくありません。ただし、近年ではジェノタイプA型と呼ばれる欧米型やアジア・アフリカ型といった外来種のHBV感染が増加しており、これに感染すると比較的高い確率で慢性化を起こすことが知られています。

一方、乳幼児期に母親から感染した場合(母子感染)は、ウィルスを持続的に保有してキャリアーとなります。思春期を過ぎると自己の免疫力が発達し体内に存在するHBVを病原菌と認識できるようになり免疫反応が起こり急性肝炎を発症します。一般的には10~30歳代に一過性の強い肝炎を起こしHBe抗体陽性の比較的おとなしいウィルスに変化します。この場合はそのまま強い肝炎は発症しませんが、変異株のHBV感染の場合は慢性肝炎に移行する人もいます。このように思春期以降一過性の肝炎を起こした後はそのまま肝機能が安定したままの人がおよそ80~90%、残りの10~20%の人は慢性肝炎・肝硬変へと移行し肝臓がんを合併する人も出てきます。

予防・治療法:
治療の目標は、①HBe抗原の陰性化、②ALT(肝機能)の正常化、③HBV-DNA量の抑制であり、肝機能・年齢・肝臓の線維化の状態に応じて、インターフェロン(IFN)製剤、核酸アナログ製剤を選択します。核酸アナログ製剤は一度内服すると中断は難しいとされていますが、シークエンシャル療法(一時的にインターフェロンと核酸アナログを併用する治療)にて条件次第では中止することも可能です。

C型肝炎
説明:
C型肝炎ウィルス(HCV)が、輸血や血液製剤の使用、入れ墨、麻薬覚せい剤などの注射器、不衛生な状態での針治療、ピアスの穴開けなどによって感染する病気です。日本ではHCVに感染しているキャリアーは200万人以上いると言われています。急性肝炎のうち60~80%の人が慢性肝炎に進み、更に肝硬変に進行し肝がんを発症します。

予防・治療法:
以前はインターフェロンを軸とした治療でしたが、2014年9月より直接作用型抗ウィルス剤(Direct Acting Antivirals ; DAA)が登場し、内服薬のみでより副作用が少なくウィルス消失の治療成績が格段に進歩しています。

自己免疫による肝障害

※自己免疫による肝疾患は難病指定されております。場合によっては医療費助成を受けられる可能性がありますのでご相談ください。

自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis ; AIH)
説明:
原因は不明ですが、自己免疫の異常によって起こる肝炎であり、中年以降の女性に多く慢性に経過し、肝硬変や肝臓がんの発症の原因となります。

予防・治療法:
ステロイド、アザチオプリンをはじめとする免疫抑制剤で改善することが多いですが、治療を中断すると再燃することが多く、生涯にわたり治療が必要とされています。しかし、条件次第では(ALT値が正常上限の半分以下、IgG値が1200㎎/dL以下等)中止の可能性もあると現在は報告されています。
原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary cholangitis;PBC)
説明:
中年以降の女性に後発する特殊な肝硬変症の1つです。原因がはっきりとはしていませんが、自己免疫反応が関与しているとされています。肝臓内の小さな胆管が炎症により破壊され、胆汁が正常に流れず溜まってしまうことにより肝細胞が破壊され肝硬変へと進行します。皮膚のかゆみ・黄疸・腹水貯留・食道胃静脈瘤などが見られます。生涯診断されずに一生を過ぎる例もあるとされていますが、一般的には長い経過の末に肝不全に至ると言われています。
検診にて肝機能障害を認め、アルコール性・ウィルス性など否定された場合はこの疾患を疑い自己抗体などの検査が必要です。

予防・治療法:
この病気を完全に治す薬はまだありません。胆汁の流れをよくする利胆剤や、保険適応外ですが高脂血症のお薬を使用することもあります。

肝細胞がん

症状:
早期の段階ではがんによる自覚症状は認めません。

説明:
肝細胞がんのほとんど(90%)がB型肝炎ウィルス・C型肝炎ウィルスの持続感染による、慢性肝炎・肝硬変症例に発症します。慢性的な肝臓の炎症と肝硬変が、がんの発生母地とされているため、それ以外にも自己免疫肝炎(AIH)やアルコール性肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)・原発性胆汁性肝硬変(PBC)の方でもがんの発症の可能性があります。

予防・治療法:
自覚症状がないため、慢性肝炎や肝硬変の方は定期的な(3ヵ月に一度)腫瘍マーカー(AFP・PIVKA?Ⅱ)の測定と、半年に一度の腹部超音波検査が重要となります。また、肝機能(ALT値)・アルブミン(血液のなかのたんぱく成分)を正常に近づけることにより、がん再発の確率が下がるとされており、定期的な内服や場合によっては通院での静脈注射が必要となります。

胆のうの病気

胆石症

症状:
無症状、みぞおち(心窩部)~右上腹部の痛み、発熱、吐き気、黄疸 など

説明:
胆のうは、肝臓で作られる消化液や老廃物が一時的に溜る袋で、みぞおちの少し右側にあります。その中にコレステロールやビリルビンが結晶になることで胆石ができます。高脂肪食との関係が指摘されており、特に女性・色白・肥満・40歳代・多産の方に多いとされております。

予防・治療法:
無症状であれば結石を溶解させる効果のある薬を内服しますが、結石にはカルシウムなどの不純物も多く含まれておりあまり高い治療効果は望めません。高脂肪食などを控える等の生活習慣の改善と、定期的な腹部超音波検査にて経過観察されることをお勧めします。
胆石が胆のうの出口にはまり込んで炎症をおこしたり(胆のう炎)、胆のうから十二指腸へと繋がる管(総胆管)に結石が流れ込んだり(総胆管結石・胆管炎)すると、急激な発熱・嘔吐・腹痛などに見舞われ、緊急で内視鏡治療や手術が必要になることもあります。
胃痛だと思って胃薬を飲んでいたが改善しない方は一度ご相談ください。胆石症の可能性も否定できません。

胆のうポリープ

症状:
症状は特にありません。

説明:
胆のうの中にできるポリープで、ほとんど(胆のうポリープの80~90%)がコレステロールが胆のう粘膜に沈着することによってできたコレステロールポリープです。これは悪性にはなりませんが、胆のう腺腫というポリープの場合はがんになる可能性があります。

予防・治療法:
大きさが10mm以上や形がゴツゴツしたポリープは悪性の可能性が高くなりますので、超音波内視鏡(お腹の中からのエコー検査)などの精密検査が必要です。

胆のうがん・胆管がん

症状:
無症状、黄疸、右季肋部痛(右肋骨の下あたりの痛み)、体重減少 など

説明:
初期には症状がほとんどなく、検診の腹部超音波で偶然に見つかることもある病気です。 便が白っぽくなったり、尿がオレンジ色になったりする場合は黄疸の可能性がありますので、症状がなくても相談の上、腹部超音波検査をお勧めします。

予防・治療法:
治療は、精密な検査が必要となりますので、がん拠点病院へ迅速にご紹介いたします。

すい臓の病気

急性膵炎

症状:
上腹部の急性腹痛、背中の痛み、発熱

説明:
すい臓はインスリンやグルカゴンなどの血糖をコントロールする内分泌と、消化酵素である膵液が作られている、胃の裏側にある臓器です。
急性膵炎は、この膵液が悪さをして自分のすい臓が溶けてしまう病気です。
原因は胆石や多量の飲酒、高脂血症、先天的な膵胆管異常、自己免疫疾患などが原因とされています。
急性膵炎は治療が適切でないと死亡する危険性のある病気です。
大酒家の方で上記の症状が見られる場合や、膝を曲げてうつ伏せになると痛みが和らぐ場合(胸膝位)は急性膵炎が疑われますので直ちに病院を受診してください。

予防・治療法:
治療は基本的には入院加療となります。

慢性膵炎

症状:
繰り返す上腹部痛、慢性的な上腹部痛、食欲不振、お腹のはり(腹部膨満感)

説明:
ほとんどがアルコールの長期多量摂取により、すい臓に繰り返し炎症が起こりすい臓の細胞が破壊、線維化してしまう病気です。すい臓の内・外分泌機能が低下し、インスリン不足による糖尿病や消化不良に伴う慢性下痢、消化吸収障害による体重減少などが出現します。

予防・治療法:
徹底した禁酒と、消化剤・インスリンなどの補充療法が必要となりますが、膵石症(すい臓の中に石ができて痛みや急性膵炎のリスクになる)や、すい臓がんのリスクになりますので、定期的な採血・腹部超音波などでの検査が必要となります。

すい臓がん

症状:
無症状、胃や背中の重苦しさ、糖尿病の増悪、体重減少 など

説明:
すい臓は胃の背中側に位置し、十二指腸側より頭部・体部・尾部と分かれています。
すい臓がんの70~80%は頭部に発生するといわれており、早期ではほとんど症状がありません。
すい臓がんの方の受診されたきっかけを調べると、胃や背中の重苦しさ、糖尿病の増悪、体重減少などが多く見られ、検査をしたら進行したすい臓がんが見つかるといった例が多いのが現実です。
切除率は40%と低く、非手術例は放射線や抗がん剤などでの治療を行います。現在では新たにすい臓がんに適応となった抗がん剤も出てきてはいますが、依然としてすい臓がんの治療成績は、多臓器のがんと比較して満足いくものではありません。

予防・治療法:
すい臓がんの発症リスクを高めるものとしては、糖尿病・慢性膵炎・肥満・すい臓への脂肪沈着・喫煙などです。すい臓は沈黙の臓器とも言われていますので、危険因子に心当たりのある方は、年一回の採血・腹部超音波検査をお勧めいたします。

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌とは?

ピロリ菌の感染経路
ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)は1983年に発見された胃酸の中でも生息できるラセン型の菌です。
口から口、糞便から口という経路で人から人へ感染すると考えられており、ピロリ菌は不完全に処理された下水道や井戸水・河川などから感染すると推測されています。感染時期は免疫力の弱い5歳までに感染し、免疫力が高くなるそれ以降は感染しないとされています。
40歳代以上の陽性率は70%以上であり、下水道が整備されてきた40代より若い世代では感染率は低下しています。
ピロリ菌陽性の40代以上でお子様がいらっしゃる方は、口から口へお子様に感染している可能性があります。
そのような方は是非一度お子様もピロリ検査をすることをお勧めします。
ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少し粘膜が薄く弱くなってしまいます(萎縮性胃炎)。すると、粘膜の防御機能が弱まり潰瘍ができてしまうのです。
胃潰瘍では70~80%に、十二指腸潰瘍では90%以上の人にピロリ菌が感染していることが判っています。
潰瘍は制酸剤や粘膜保護剤の内服によっていったんは改善しますが、ピロリ菌の除菌を行わないと再発してしまいます。
潰瘍になったことがありピロリ菌除菌されてない方は除菌をお勧めします。
ピロリ菌と胃がん
沖縄を除く日本の感染者のピロリ菌から、CagAとういうたんぱく質が作り出されていることが判っています。
このCagAが、細胞の異常増殖・結合機能の消失・胃の上皮細胞を他の臓器に成長する幹細胞へ変化させるという働きがあり、細胞をがん化させると推測されています。
2001年に日本人医師によってピロリ菌感染が胃がんの発生原因となると証明されて以降、日本では、ピロリ陽性の胃・十二指腸潰瘍、早期胃がんに対する内視鏡治療後、萎縮性胃炎に対し、ピロリ菌の除菌が保険適応になりました。

ピロリ菌の検査

ピロリ菌の有無を調べる検査の種類

保険診療上、全てのピロリ菌の検査は胃カメラで萎縮性胃炎があることを確認しなければできません。 胃カメラをしない場合は自費診療となります。

胃カメラ(上部内視鏡)を使わない検査
1. 尿素呼気試験法
診断薬を服用し、服用前後の息を集めて診断します。最も精度の高い診断法です。

2. 抗体法
血液中や尿中に存在する抗体を測定する診断法です。採血・採尿が必要となります。

3. 抗原法
糞便中のピロリの抗原の有無を調べる診断法です。便の採取が必要です。
胃カメラ(上部内視鏡)を使う検査
4. 培養法
胃カメラで胃の粘膜を採取し、5~7日間培養して診断します。

5. 迅速ウレアーゼ法
胃カメラで胃の粘膜を3か所採取し、反応液に添加し色調の変化で診断します。

6. 組織鏡検法
胃カメラで胃の粘膜を採取し、組織標本にて特殊染色を行い、直接ピロリ菌を顕微鏡で確認して診断します。

除菌の流れ

一次除菌

1種類の「制酸剤」と2種類の「抗生剤」の計3種類のお薬を7日間(1日2回朝・夕)服用します。

除菌を成功させるには強力な制酸(胃酸を抑えること)が重要です。近年までは抗生剤の耐性が原因で一次除菌率は70%まで低下していましたが、新たな制酸剤により除菌率は再び良好となっております。
4週間以上あけます。

除菌の結果検査

ピロリ菌がちゃんと除菌できたかもう一度検査します。

二次除菌

一次除菌と同様に、1種類の「制酸剤」と2種類の「抗生剤」の計3種類のお薬を7日間(1日2回朝・夕)服用します。
二次除菌までで除菌の成功率は90%と言われています。
4週間以上あけます。

除菌の結果検査

ピロリ菌がちゃんと除菌できたかもう一度検査します。

三次除菌

二次除菌まででほぼ除菌は成功しますが、人によっては除菌できない方もいらっしゃいます。その方は三次除菌を行いますが、保険適応ではなく自費診療となります。それでも除菌できない方もいらっしゃいます。
除菌できなかったからと言って必ずしも胃がんになるわけではありませんし、除菌が成功したからといっても絶対に胃がんにならないというわけでもありません。除菌が成功しても失敗しても、ヘリコバクター学会では年一回の胃カメラを推奨しております。

健診

各種健診の取り扱いをしております。詳しくはお電話で直接お問い合わせください。

健康診断

当院では戸田市の以下の健診を行っております。
健診の内容や申込方法など、詳しくは市のホームページをご覧ください。

・特定健診
・後期高齢者健診(長寿健診) など

企業健診

詳しくはお電話で直接お問い合わせください。

がん検診

当院では戸田市の以下のがん検診を行っております。
健診の内容や申込方法など、詳しくは市のホームページをご覧ください。

戸田市で実施しているがん検診
・肺がん検診
・胃がん検診
・大腸がん検診
・前立腺がん検診

予防接種

当院では戸田市の以下の予防接種を行っております。


高齢者インフルエンザの予防接種
高齢者肺炎球菌予防接種
MR(麻しん風しん混合)予防接種

予防接種の詳しい内容については、各項目のリンクより戸田市公式ホームページをご覧下さい。
休診日:木曜、土曜午後、日曜・祝日
〒335-0023
埼玉県戸田市本町4-17-9
プランドール戸田公園1F
・戸田公園駅西口より徒歩1分
・駐車場7台完備
〒335-0023
埼玉県戸田市本町4-17-9
プランドール戸田公園1F
・戸田公園駅西口より徒歩1分
・駐車場7台完備